復帰戦を迎えた緒形健一

――今回は昨年11月の『S-cup』以来の復帰戦になりますね。
「何回、復帰戦やってんだって話ですけどね(笑)。なんだかんだ言って、闘うのが好きなんだと思います」

 

――現在、シュートボクシング戦線では“世代交代”がテーマになっています。今大会でも、金井健治vs梅野孝明、及川知浩vs鈴木博昭という世代交代をかけたタイトルマッチが行なわれますね。
「ここは複雑な心境ですね。世代交代っていうのは当然していくものだし、しなきゃいけないと思うんですよ。でも、これまで頑張ってきた選手たちに意地を見せてほしいという気持ちもあるんです。自分でも、自分の気持ちが分からないくらいなんですよね。どっちも本音だから」

 

――そういう中で、大ベテランの緒形選手はどんな試合を見せたいと思ってますか。
「やっぱりプロなんで、お客さんにインパクトを与える試合を見せたいですね。お客さんがあってこその自分たちなわけですから。今の若い選手たちって、勝つことだけに集中してる段階だと思うんですよ。勝つのは当たり前のことなんですけど、その中でも“魅せる”というのを忘れないのが本当のプロだと思います」

 

――新世代の選手は、今は勝てば話題になりますが、もしチャンピオンになれば内容も問われてきますからね。
「勝つことだけを考えてしまうと、そこで成長が止まってしまうんですよね。そうじゃなく、自分に高いハードルを課すような選手になってほしいんですよ」

 

――では、緒形選手としてはメインで手本を示すというか。
「今の自分には、それが最大のモチベーションですね。自分が納得して、お客さんも納得する。そういう試合をしたいと思ってます。僕の場合、勝ち負けというよりヘタな試合をしたら終わりだと思ってますから」

 

――『S-cup』でも優勝した緒形選手は、もはやベルトとか“目先の目標”のために闘う段階ではないですから、内容重視になりますよね。
「具体的な目標は、もうないですからね。じゃあ、なんのために試合をするのかっていったら、限界まであきらめないでやるってことだと思うんですよ。もう16年シュートボクシングをやってるんですけど、身体的にはいくらでもできるんです。でも、気持ちは切れてしまったら戻らない。それは分かってるんですけど、だからって緩めることはしたくないんですよね。いつかは限界がくるんでしょうけど、それまではギリギリの状態で闘っていきたい」

 

――自分に楽を許さないというのは、精神的にかなりしんどそうですが……。
「一つのことをまっとうするのって、大変なんだなってつくづく思いますね。でも、あきらめたら終わりですからね。最後まで意地を張って生きたいんですよ、僕は」