6.16 海人と対戦する鈴木博昭「今までのキャリア全部をぶん獲られてたまるか」
6月16日(金)東京・後楽園ホールにて開催される『SHOOT BOXING 2017 act.3』でSB日本ライト級1位・海人(TEAM F.O.D)と対戦するSB世界スーパーライト級王者・鈴木博昭(ストライキングジムAres)。前戦となった4月のWBCムエタイ日本&INNOVATIONスーパーライト級王者・山口裕人との一戦では、他団体進出を視野にヒジありルールを要求し、激闘の末に5Rヒジでの豪快なKO勝利を収めている。今回迎えた新世代のエース、海人との一戦を前に鈴木を直撃した。
――前回の山口戦を振り返っていただけますか。試合前にヒジありルールを要求し、試合ではヒジでの見事なKO勝ちでした。
「思っていた通りの展開でしたね。ヒジでKO勝ちすることしか考えていませんでした」
――あのハードパンチャーの山口選手と打ち合いもしつつ、鈴木選手の鉄壁ガードも光った試合内容だったと思います。
「昔はガードが甘い部分がありましたが、対外国人に向けて必要なこととしてずっとやってきているので、今活きていますよね。前回は純粋なキックルールでやろうと思い、投げ技、関節技も封印して試合に臨みました」
――相手の土俵で戦い、そこで勝つということを意識していたのでしょうか。
「そうですね。実際、試合では一度も投げにいきませんでした。KNOCK OUT参戦を視野に入れていたので、試合で投げてポイントを取って勝ってもそこは道理が違いますよね」
――今回、海人選手との試合が決まりました。
「最初、このオファーを聞いたときは『今やるんかい!』という気持ちでした。タイミング的には、僕が衰えてきて、もっと彼が上り調子で何かしらベルトを獲っていたら、僕とやる流れになるのかなと。逆に、前回大会で彼が(ザカリア・ゾウガリーに)勝って、僕が(山口裕人に)負けていたら今回のカードはあってもおかしくはないかなとは思っていました。前回、山口選手にKO勝ちしてKNOCK OUT参戦をいい感じでアピールできてSBの強さを証明していこうと思っていた矢先のことだったので、戸惑ってしまった部分はあります。今SB全体で見ると、若い選手が育ってきてフューチャーされています。彼らにSBは盛り上げてもらって、僕はSB内で獲るべきものは獲っているので外でチャレンジさせていただきたい気持ちでしたね」
――鈴木選手もプロデビューして数戦後そうだったと思うのですが、これまでにもベテラン選手が衰えてからではなく若い伸び盛りの選手に胸を貸すことでキャリアを積ませ、選手は育ち、シュートボクシングの歴史は作られてきました。鈴木選手にもその役割はあるのでは?
「そのうち、僕にもそういう試合は組まれるんだろうなとは思っていたぐらいです。今回、僕的にはハイリスク・ノーリターンの戦いであって勝って得るものは特にありません。かといって、ここで負けたら失うものは計り知れないものがありますよね。ただ、俺が人生懸けて積み重ねてきた戦歴は俺の人生そのもの。今は気持ちを切り替えて、たった1試合で今までのキャリア全部をぶん獲られてたまるかよ、という気持ちが強いです。全てを背負い、上の者として受けて立ちますよ」
――ゴールデンウィーク中にタイ修行にも行かれていたんですよね。
「KNOCK OUT参戦を意識してのものでした(笑)。参戦が決まってからタイ修行に行くようでは遅いです。なかなかタイに行くタイミングがなく、3日間だけ行ってきました」
――タイではどちらのジムに行かれたんですか?
「アタチャイ(来日経験もあるムエタイのスーパースター。鈴木秀明、桜井洋平らを高度なテクニックで破った)のジムです。今回KNOCK OUT参戦とはいきませんでしたが、練習だけでなく、ラジャダムナンスタジアムに行って試合を観たりして、言葉で言い表せないぐらいの刺激を受けたので行って良かったとは思います。ムエタイスタイルに変わったとかではなく、今のスタイルにうまく融合できていて間違いなく今度の試合でいいものを見せられるので、それを試合当日楽しみにしていてもらいたいですね」
――今後もタイ修行に行きたいぐらいですか。
「そうですね。今回は初めての経験でしたが、1年ぐらいタイで住み込みながらやりたいぐらいです」
――タイ修行を経て、今回の試合でもヒジありルールは要求しますか?
「向こうはヒジありルールでの試合経験ないのでヒジは出来ないでしょう」
――海人選手に お話を伺ったところ、ヒジありルールでも問題ないとのことでした。
「僕にとってはヒジがあってもなくても大きな問題ではないので、そこは上の判断に任せます。純粋なルールでやって相手を打ち負かしたいとも思っています」
――今回新旧エース対決として見られていますが、海人選手いわく「鈴木選手は本物のエースではない。周りからはエースだと言われていますが、誰もが認めるようなしっくりくる試合内容や結果を収めているわけではありません」とのことでした。
「何を言ってくるのか楽しみでしたね。噛みついてこないと俺とやる必要はありません。新旧エース対決と言われていて、僕は“旧”の立場になったつもりはありません」
――どういう試合展開を予想します か。
「彼もディフェンス面がしっかりしていい選手ですが、あまり印象にありません。爆発的な強さがあるのではなく、きっちりと戦うイメージです。試合を見るとなると植山(征紀)君のような面白い試合を見てしまいますね」
――海人戦後はどのようなことを考えてますか?
「今はその先を見るだけです。そのために目の前に来る相手を蹴散らすのみ。彼の強気なコメントはどんと来い!という感じですね。なんなら仕留めて見てくださいよと。でも、俺はそんなに簡単ではないですよ」
大会概要はこちら
https://shootboxing.org/tournament_schedule/12788