シュートボクシング
HUMAN OF SB

11月11日(金)東京・TDCホールで開催される『SHOOT BOXING WORLD TOURNAMENT S-cup2016』にてSHOOT BOXING(以下SB)スーパーバンタム級タイトルマッチの防衛戦を行う現王者・内藤大樹。初の防衛戦に挑む内藤大樹選手は現役二十歳の大学生。圧倒的なスピードを武器に冷静沈着な戦いぶりで、その実力を見せつける内藤選手。若き王者が勉学に励みながら突き進むその思いを聞いた。

小さい頃はどんな子どもだったのだろうか?

 

僕は三人兄弟の真ん中で、保育園から空手をやっていました。家の近くに空手教室があって母親に連れて行かれたんです。そのときはお兄ちゃんと僕とで、4、5歳の頃です。はじめは無理やりだったので、ふたりして嫌がってました(笑)。たぶん母親は空手をやれば礼儀とかも学べて、強い心が育つと思っていたんじゃないかって思います。 保育園のうちは嫌嫌でしたが、小学生になって戦うのが楽しくなってきて、大会とか出るようになり。とは言っても、最初は大会でも全然勝てなかったんですけど、徐々に優勝とか準優勝とかできるようになりました。母親は大会とかあると必ず応援にきてくれてました。でも勝敗関係なく、情けない試合をするとめっちゃ怒られました。それはSBのアマチュア大会とかに出てからも一緒だったんですが、プロになってからはあまり言わなくなりましたね。ギリギリの戦いだったり強い相手だったりするんで、心配をしながらも応援し続けてくれています。

 

昔から運動神経はよかったかの問いには意外なエピソードを語ってくれた。

体育は苦手で運動は得意じゃなかった。走るのは遅いし、球技もやったことあるけど、あまりにもできなくて友達にバカにされるほどで。今でも、よく見た目とかで運動神経良さそうって言われるんですが、実際を見ると出来なさすぎて、そのギャップで笑われたりします。体操はまだマシでしたが、体育は3でした。あ、でも唯一体育で5をとったことがあるんです。高校の時、2クラス合同の柔道の授業で、先生が授業内トーナメントで優勝した「5」って言われて、そのとき優勝して5でした。勉強はまぁまぁ、平均ぐらい。好きな授業は美術。作ったり、絵を描いたり。昔から絵を描くのは好きでした。今は、あんまり描かなくなっちゃいましたけど。

 

小さい頃から空手少年だった内藤選手がSBに出会ったきっかけとは?

小学生の時、テレビで格闘技を見ることが大好きでした。魔裟斗選手が大好きで、魔裟斗選手がK-1で優勝したとき、家族みんなでテレビを見ていたんですが「いつかは自分もプロになりたい!」と一気に惹かれたんです。とにかくカッコよくって。それで空手からの転向を母親に相談しました。華やかなリングのある格闘技の世界に憧れていたことも話したのですが、母親は反対。あきらめきれずにいると、母親から条件が出されました。「空手の流派の全国大会で優勝したら転向してもいい」と。そこで一生懸命練習して1年かかって優勝しました。母はようやく、転向オッケーをくれたんです。早速ジムを探し始めて最初は名古屋で探していましたが、地元愛知県豊橋市に、まだオープンして数ヶ月のStrikingGymAres(以下Ares)を知ってプロ志望で入門しました。14歳の時です。今でもプロ志望で入ってくる人は少なくて、最初は練習だけで力がついてプロになったりすることが多いんですが、うちのジムでプロ志望でジムに入門して、チャンピオンになったのは鈴木博昭さん(現SB世界スーパーライト級王者)と僕だけです。

 

SBに転向をした内藤選手のその後の道のりは?

 

実は初日の練習で自信を失いかけました。あまりにもきつすぎて、やっていけるのかな、って不安になって。空手でやったことのない練習ばかり、たとえば縄跳びとか、空手にはないですから。その時は、練習についていくので精一杯でした。でも徐々に練習も頑張って いけるようになりアマチュア大会に出て、入門から1年半後の高校1年でプロデビューが決まります。母親に伝えた時「よかったね。やるならしっかりやりなさい」って言ってくれました。 プロの世界ってアマチュアの時から「すごいな」って思ってましたけれど、自分がプロになって、「やっぱ、プロになるだけじゃなくて、チャンピオンになりたい」って思うようになりました。

 

プロの道を進む内藤選手にとってターニングポイントだった時は?

 

2014年4月に愛知県豊川市で行われたSB「UNCHAIN.1」の大会で、イムロン・ルックロンタン(タイ)と対戦した時です。以前に先輩・村田大輔さんの引退試合で見ていたんですが、めちゃめちゃ強くて。試合が組まれたとき、外国人選手と戦うことも初めてで、正直不安もあって、周りも心配していました。試合直前まで怖かったですね。試合は日本人選手では感じたことのない圧がすごかったんですが、KOで勝つことができました。 そこから、自分のやってきたことへの自信がついて、周りからも変わったと言われるようになりました。そのあと SBスーパーバンタム級タイトルマッチで王者になれたんですが、このイムロン戦が僕を大きく変えてくれました。

試練を乗り越えチャンピオンとして君臨する内藤選手のこれからとは?

 

常に挑戦していきたいって気持ちです。強いと思っている選手に勝ってこそ、プロとしてやっている意味がある。プロって人から見られて試合するわけで、それが自分的にはすごい気持ちが上がる。小さい頃から空手でも人前で試合するのが好きでした。 ずっとチャンピオンになりたいって思ってきたけど、チャンピオンになっても意外と満足出来なくて……。ただのチャンピオンじゃなくって、他の団体のチャンピオン相手でも戦っていけるようになりたい。先輩・鈴木くん(鈴木博昭 SB世界スーパーライト級王者)も世界チャンピオンになっているし、世界にも挑戦していきたい。 やっぱSBが好きだし、好きだから続けられている。今は、もっともっと上にいってやるって気持ちと、SBをさらにメジャーにする選手になります。

聞き手 : 高橋藍

内藤大樹

SB日本スーパーバンタム級王者

1996年1月13日生まれ。愛知県出身 StrikingGymAres所属 SB日本スーパーバンタム級王者 身長172センチ/体重55.0キロ 25戦20勝(6KO)5敗





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