シュートボクシング
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HUMAN OF SB

日本で初めて、シュートボクシングを全日制普通科教育に導入した愛知県新城市の私立高校・黄柳野高校。平成27年度からスタートしたこの授業は、この度、第一期生のシュートボクシングの授業が終了しました。

授業採用のきっかけは、ある生徒がストライキングジム・Aresで一日体験をしたことからはじまります。その生徒が練習を通して普段とは違う生き生きとした姿を見せたことから、「シュートボクシングの理念である“人間育成”を学校教育とつなげられないか」という安田会長はじめシュートボクシング協会全面協力のもと、熱意ある教師の方々の活動により、晴れて実を結ぶ運びになりました。

講師は安田会長をはじめ、S-Cup世界トーナメント優勝者・鈴木博昭、SB日本スーパーバンタム級王者・内藤大樹が担当。不安の中から授業をスタートしたという安田会長。授業初日の様子を振り返り、安田会長の胸に浮かんだ言葉とはなんだったのだろう。

ガイダンスを終え、体育館にいくと25名近い生徒がシュートボクシングの選択授業に参加してくれました。正直…3名くらいを想像していたので、ちょっと慌てました。それでも授業とはいえ、特別なことは何もありません。普段ジムのクラスでやっていることをやるだけです。とても短い50分程度の授業でした。授業が終わってから数人の生徒が私の周りに集まってきてくれ、私はこの授業に対して改めて『一生懸命やりたい』と思いました。

ジム練習とは違った環境や状況のなか、難しかったところは?

 

それは、練習に目的と達成感がないことでした。ジムの練習とは大幅に違います。プロになりたい、強くなりたい、ダイエットしたい、運動不足を解消したい、ジムに訪ねられてくる方は全員、何か目的を持って入会されます。そして目的を達成するという大きな達成感を味わうことでポテンシャルをあげていけます。
黄柳野高校で行うのは授業です。「さて、何を教えていくべきか」、そんな苦悩がいろいろありました。

シュートボクシングの授業に対して、黄柳野高校の先生方の反応は?

 

先生方はシュートボクシングを授業に導入することに明確な目的を持っていました。格闘技はダイエットや強くなるためだけの道具ではないということです。人間育成に必要な要素を兼ね備えているということを理解しておられ、積極的でした。

安田会長が日々のジム練習を通して感じていたことが、授業を通してさらに明確になったという。

 

子供は生まれてきたときに“泣き”、そのうち“笑う”ことを自然と覚えます。大人たちから習うべきことは“我慢”なんじゃないだろうか、と。生きていく上で、親や先生、先輩、近所の方々などさまざまな方から忍耐を教わり、生き抜く力を備える必要があります。
シュートボクシングの授業で、練習はつらいときもあるし、行きたくない日もあるだろうし、痛いし…。でも、そんなん、社会にでたら腐るほどある。戦うためだけに格闘技があるのではなく、強い精神は強い肉体に宿るように強い肉体を作るには、強い意志がなければできないのです。生徒たちが自分と向き合うよい機会になったら、私の役目は果たせたのかなと思います。

一期生の授業を終えた今、安田会長は次なる展望を描いていた。

 

挑戦して挫折する、こんなことは当たり前。長く人生生きていると挑戦するときには挫折することは想定して挑戦する。壁を乗り越えた充実感や達成感、これは爽快です。でも、また壁はやってきます。人生は経験です。やってみなきゃわからないことの方が多い。大事なことは途中で投げ出さないこと、最後までやり抜くことです。

私は楽しいだけのシュートボクシングの授業を開講することは初めから嫌でした。しかし、この授業を通して試合をやりたいという生徒がでてくるとは思ってもいませんでした。(※1月30日豊川道場 スパーリング大会に黄柳野高校の生徒が出場)

授業を終えた今、私も次なる目標を描いています。何年後かに、ここからアマチュアSB全日本選手権の決勝に生徒を送り出すことです。そして一期生の生徒から二期生にバトンをつなげて欲しいと思います。一期生の生徒のみなさん、またいつか会いましょう。

 

人前で話すのが苦手という安田会長。言葉で伝えようとしても、伝えたいことは伝えられず、言いたいことは言えず、どこかもどかしさを感じてしまうようだ。しかし、シュートボクシングで交わしたコミュニケーションは、これから生徒たちが生き抜くうえで、ひとつの糧になっていくことだろう。シュートボクシングを通じた新たな展開が期待される今後の活動に注目していきたい。

聞き手 : 高橋藍

安田在植

ストライキングジムAres代表





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