シュートボクシング
HUMAN OF SB

RENAを始めとするシュートボクサーの衣装を手掛け、選手個人の持っているカッコ良さなどの魅力を引き出しているビームス。格闘技とファッション、全く異なる業界の融合で見えてきたものとは!?  シーザー武志会長、設楽洋代表に語ってもらった。

シーザー 元々は緒形健一の紹介で社長とは知り合ったんですよね?

設楽 そうですね。うちの和田健二郎(BEAMSスタイリング統括部スタイリングディレクター)が緒形さんの試合を観戦するところから始まります。1998年のS-cupで緒形さんの試合を観て、緒形さんに惚れ込んでしまいました。2000年ぐらいに縁があって緒形さんのコスチュームをビームスが担当することになり、シーザー会長にお会いさせていただいたのが最初の出会いでした。僕も実際に緒形さんの試合を会場で観たことがありますが、その時は今よりずっと締まってた(笑)。

シーザー アハハハ。ビームスさんにはうちの若い子だけでなく、協会に対しても色々と協力していただいて心から感謝しております。

設楽 今はRENA選手のコスチュームも担当させていただいております。ビームスはファッションというジャンルでやっていますが、スポーツものをファッションに取り入れる動きをずっとやってきています。例えば登山用のマウンテンパーカーを街で着こなしたり、ランニングスニーカーを街で履きこなしたりと、スポーツとのつながりは深いです。あと、シーザー会長はスポーツを通して青少年の健全な育成、あるいは盲導犬の普及活動に取り組まれていて、そういうシュートボクシングの理念に非常に共感しております。これからもいろいろな形で協力していきたいと思いました。もちろん大前提でシュートボクシングの魅力を一緒に伝えていきたいというのはあります。

シーザー 緒形のコスチュームを最初に見たときは、あまりにもかっこよくて自分も似合うんじゃないかな?と思ってしまいました。昨年8月にはシュートボクシング30周年記念大会で還暦記念のエキシビションマッチをやらせていただきましたが、その時のコスチュームもビームスさんに担当していただけました。物が良く、生地もいいので着るだけでも緊張します。今までガウンは軽いものを使っていたのですが、ああいうドッシリしたものは30年間の重みがここに来たのかなと思いましたね。昨日、家内とも話したのですが、格闘技生活43年目なので今度は50周年目で何かにチャレンジしようかなと思います。

設楽 エキシビションマッチを見てすごく感動しました。凄く身体を絞りこんでましたよね。

シーザー 写真を見ると無駄な肉がいっぱい付いているんですよ。

設楽 いえいえ、ある程度年齢をとって体重を落としたり、筋肉を付けたりすることは大変なことなので、並大抵の努力ではそううまくはいきません。

シーザー 失礼ですが、社長は年齢はおいくつになりますか?

設楽 今年65歳になります。実は60歳のときにすごく絞ったことがあったんですよ。会長のように試合に出るという目標があるわけではなく、僕は年賀状で自分のボディを公開しようと思いました。7カ月間、時間をかけたのですが、最初はなかなか思うようにいきませんでしたね。ジムにいっても通常は有酸素運動をやってからマシーンをやったりしますよね。毎日毎日続けて走っているとなると別ですが、この年になると有酸素運動を先にやってもダメだと。ある程度マシーンをやってからじゃないと身体が目覚めないらしいんですよ。その後で有酸素運動に入る。トレーナーからそういう指示を受けたりして、ある程度パワフルに、そして元気を保ちながら自分自身の力でやるのは相当な努力が必要だというのは感じました。

シーザー エキシビションマッチの時、アンディ・サワーとは打ち合わせを一回もしたくはなかったんです。何も会話していないので、相手がどう攻めてくるのかもわからない。お互いにプロですから、リングに上がったら何かわかるものがあるんでしょう。阿吽の呼吸には凄く感動しました。そういえば先日、和田さんはシュートボクシングのアマチュア大会のメインに出場してKO勝ちしましたね。

設楽 観ているだけでなく、和田を始めとしてアマチュア大会に出場しているうちのスタッフも出てきています。それだけシュートボクシングに魅かれるものがあるんでしょうね。いろいろ形でうちは異業種の企業とコラボをやっていますけれど、自らやりたい・参加したいと思わせる魅力を持っているのがシュートボクシングだと思います。

シーザー 格闘技とファッションは対極なものにあり、格闘技というと怖いイメージがありますが、ビームスさんと絡むことによってそういうイメージを払拭できてソフトなものになっています。僕は前々から社長にお話したいことがありました。女子部を作ったときからイメージしていたことがあって、女子のイベントのときにファッションショーとコラボして、女子選手が入場するときにファッションショーのような入場の仕方が出来たら面白いなと思いました。来てくれるマスコミの数も、取り上げ方も変わるでしょうね。

設楽 アスリートの人たちって着こなしがカッコいいですよね。そういう意味では、我々もファッションを逆にそういうところに近づけていきたいと思っています。スポーツによって体型は違いますが、スポーツ選手が着るとボディがしっかりしているからカッコいい。その企画は非常に魅力的ですね。

シーザー SBには海人、植山征紀などイケメンが揃っていますからね。ファンを増やすためには、彼らもそういう見せ方をしていくことは重要なことかもしれません。この前も会場で言ったのですが、格闘家はやはり常識がないといけません。試合が終わって礼儀作法も何も知らなかったら、ただの暴れん坊に終わってしまいます。厳しいことをやってきたからこそ、礼儀作法がちゃんと出来て、一般人ともちゃんと話が出来て交流が出来る格闘家を育てていきたいと思っています。

設楽 そのような会長の精神性がシュートボクシングの選手につながっていますよね。逆にビームスも見習わないといけないと思っています。ファッション業界でも礼儀がなければ、ただフワフワしたものになってしまい、芯のない人間みたいになってしまいます。会長の理念には共感するところがあります。

シーザー ありがとうございます。ビームスさんは新宿に新しくお店をオープンされたんですよね。

設楽 「BEAMS JAPAN」といいまして、日本をテーマにしたものです。今までは世界中の良いモノを扱ってましたが、そこでは“MADE IN JAPAN”のカッコいいもののセレクトを始めました。これまでの経験や独自の価値観を日本に向け、物作りの確かさ、日本人ならではの、センスやウィットなどに光を当てることで、新しいビームスの姿、新たなカルチャーショップの形を作り上げ、世界に“JAPAN”を発信していこうと思っています。そういう意味においては日本発のシュートボクシングと通じるものがあると思います。

 

シーザー ちょうど先日新宿に行ってゴールドのキューピー人形を購入しましたよ。これは縁起がいいものですね。緒形も持っていますし、家内も持っています。ビームスさんは今年で40周年を迎えられたんですよね。うちは昨年30周年だったので大先輩ですね。

設楽 浮き沈みの激しい業界ですから、40年間なんとかいい位置で来られたのは奇跡に近いと思います。シーザー会長もそうだと思いますが、いい時も悪い時もあったと思います。そういう中で継続していくこと、理念を変えずに続けていくことの大変さというのは、非常にわかります。時代によって変わっていくもの、絶対に変えてはいけないものというのはあるじゃないですか。どんどん新しいものは我々の業界は出てきていますし、格闘技業界にも出てきています。その中で自分たちのスタンスを守り続けていくのは凄く大変なことです。

シーザー 末端の選手を育てるのではなく、僕の心を伝えられる幹部を育てることも重要だと思います。この人間が多ければ多いほど、行き渡る部署が多くなるわけですし、それを今一生懸命作っている段階です。40年間ここまで続けてくるときに先に何かを予測してやられてきましたか?

設楽 変化の激しい業界なので、僕としては芯として理念として守らなければいけないこと、この部分だけは失ってほしくはないこと、それだけを決めて、あとはその世代の人たちに任せてきました。自分の次の世代、次期社長はまだ決まっていませんが、この部分だけはビームスとして失ってはいけないというものをちゃんと伝えていこうと思っています。

シーザー そうですよね。自分も緒形にこの部分だけは譲れないというものを伝えているんです。方法論は別として基本的な考え方、シュートボクシングの理念を伝えています。

設楽 企業のトップ、リーダーの役割はその理念を示すことと、夢を与えることだと思います。夢を与えられる人間を自分の次にしたいと思いますし、方法論はいいので守ってもらいたいものだけを伝えて自分のやり方でやれ、というふうにしたいと思います。もっともっとシュートボクシングを通じて多くの若者が目標と強い芯を持って世界に羽ばたいていけるようなものが出来ればいいなと僕自身思っていて、シュートボクシングには期待しています。ビームスとしてはいろいろな形で応援していきたいですね。

シーザー 我々はビームスさんを宣伝することも1つですが、根本的なことは対人間なので人間同士がお互いに交流を持って、会社にパワーを持ち帰って仕事に生かしてもらいたいですね。僕らは応援していただいたものを何とか輝かせて世の中に出していきたいです。お互いに相乗効果があるといいですね。この前、BEAMS JAPANに行ったら、シュートボクシングのTシャツを着た若い社員たちがみんな下りて来てくれて、「会長、頑張ります!」と言ってくれました。あの気持ちだけで少しは役に立っているのかなと感じました。

設楽 心のつながりが広がっていくのは嬉しいもので、ビームスもそうありたいと思いますし、シュートボクシングともそういう関係でつながっていたいと思います。我々はビームスのファンの方と、あるいは会長はシュートボクシングのファンと、そのつながりがダブルでつながってくると最高ですし、次のハッピーにつながれば最高だなと思いますね。

シーザー 今日はお忙しいところありがとうございました。

 

 

設楽 洋

株式会社ビームス代表取締役

ビームス 代表取締役社長 1951年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、1975年 電通入社。1976年 「ビームス」設立に参加。1983年 電通退社。自らをプロデューサーと位置付け、その独自のコンセプト作りによりファッションだけでなく、あらゆるジャンルのムーブメントを起こす仕掛人。セレクトショップ、コラボレーションの先鞭をつけた。 BEAMSオフィシャルホームページ http://www.beams.co.jp





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