シュートボクシング
HUMAN OF SB

夏が来た。SHOOTBOXINGの夏は、女たちの戦いの火花舞う、戦いの夏。そう、Girls S-cupの夏が今年も来た。絶対女王・RENA選手の世界タイトル防衛戦、そしてRIZIN提供マッチに女子レスリング55キロ級全日本王者・村田夏南子選手が参戦することが話題になる中、48kgトーナメントで「絶対優勝」を宣言しているMIO選手の進化ぶりに注目が集まる。なぜなら、活動拠点を地元大阪から東京に移してからの大一番となるからだ。彼女の描いた夢と東京上京に懸ける覚悟を聞いた。

東京に住んで初めての一人暮らしは慣れないことばかりだと話す、その暮らしぶりとは?

 

初のひとり暮らしは、めっちゃ寂しいです。私は家族が大好きなんです。異常じゃないかって思うほど家族ラブなんです(笑)。上京してから、テレビ電話とかで毎日連絡をとるほど。家族はお父さん、お母さん、5つ年上の姉です。今は自分だけ離れてしまって、だいぶ寂しさが出てきました(笑)でも夢を叶えるために自分で上京したので泣き言は言ってられないです。

家事はまったくしなかったので、今になってめちゃめちゃ怠けていたなと実感します(笑)。でも、わたし血液型がA型なんで、案外家事もこなせています。洗濯、掃除、洗い物も気になっちゃって毎日しています。新たな自分を見つけちゃいました(笑)。料理は男飯みたいなものを食べています。今はエリンギにハマっているので、肉と炒めて塩コショーして出来上がり!みたいな。味噌汁は作ったことないです、味噌を買ったこともないので……。カレーも作ったことなかったんですが、上京して2日目に初めて作ってみたら、結構ちゃんと出来ました!家事や生活のリズムも少しずつ出来てきましたけど、まだ楽しめる余裕はないですね(笑)

新天地で日々練習に励む中で、オフの楽しみは?

 

髪の色を変えたりするのが好きなんです。だからオフの日は美容院めがけてとんで行って髪色変えて気分をあげたりしてます。今暮らしている浅草は、「試合直前に行く街」(※シュートボクシング協会所在地が浅草)のイメージなので、今そこで暮らしていることがまだ不思議な感じだったり。浅草の街をそんなにウロウロしてないので、まだどこに何があるのか把握できてないんです(笑)。

あ、このまえ上野に1人で行きました!アメ横と丸井に。ショッピングが大好きなので、上野は自分に合うなって思いました。洋服も食べ物も色んなお店が凝縮している感じだったので。ショッピングにはひとりで行くんです。めっちゃ優柔不断なんで友達と行くと迷惑かけるんで、いつも1人です。

東京で行きたいところは109!109ってどこにあるんでしたっけ?(笑)新宿でしたっけ!?あ、渋谷ですね(笑)試合が終わったら行きたい街です。

 

幼き頃から格闘技をはじめていたMIO選手。格闘技との出会いは?

 

小学2年生の時に、いつも見ていたNHKの柔道のドラマがあったんです。その道着姿がかっこよくて。それを着たくて母親に「空手を習いたい!」って言ったら、近くのキックボクシングのジムを見つけてきてくれて通い始めたんです。

大会とかにも出ていたんですが、小学生の頃から体が小さくて。その大会のときに、後にお世話になる及川道場の館長に「強いなぁ」とか声をかけてもらいました。「体の大きいやつと戦うときには、こうするんやで」とアドバイスをもらったり。それが、とっても嬉しくて。通っていたジムの都合で練習ができなくなってから、及川道場に通い始めました。道場にはRENAちゃんがいて、強くてキラキラしていて憧れでした。RENAちゃんみたいに強くかっこよくなりたいっていつも思っていました。

高校生でプロデビューしてから5年。上京に懸けた思いとは!?

 

いろいろ本格的に考えはじめたのが、昨年の6月くらいだと思います。その時は、8月に控えていたGirls S-cup48kg日本トーナメントを制覇することが目標だったんです。でも、ふとしたときに「制覇してどうしたいんやろ……」って思ったら、自分の中に何もなくて、不安になって。「将来どうなりたい」って聞かれても、答えられない自分がいて。

でも、そのトーナメントで念願の優勝を果たせて、もうその瞬間は死ぬほど嬉しかったです。頑張ってきてよかったって、本当に思えました。でもそのあとに、やっぱり自分の中が真っ白になってしまったんです。その先の自分が描けなくなってしまったんです。「自分はどうなりたいんやろ」って。

そう悩んだときに、小さい頃からやっていた芸能活動を本気で考えるようになりました。わたし、アクション女優になりたかったんです。格闘技を生かしてアクション女優になれないかな、本気で夢に挑んだらいけるんちゃうかな!?って気付いたら頭の中で描いてた夢が凄く大きくなってました(笑)。無謀な話と言われればそれまでなんですが、「挑戦してみる価値がある」「女優になりたい!」という思いを貫く道を選ばせていただきました。自分勝手な思いで周りに迷惑もかけてますし、甘ったれな私には人生を左右するほどの試練ですが、地元を離れ本気でチャンスをつかむ覚悟を決めました。

はじめは「女優になりたい」って口にすることすら人の反応が怖くてためらっていました。今もその怖さ、恥ずかしさはあるのですが、徐々に胸を張って言えるようにしたいと思います(笑)。本当にここからが自分で切り開かないといけない勝負どころですし、想いの強さと努力次第だと思うので必死になって頑張ります。

来る7月7日(木)に開催される『Girls S-cup 2016 ~七夕ジョシカク祭り~』の48kgアジアトーナメントで、「絶対優勝」を誓う意気込みは?

 

今までとは環境はもちろん、練習内容も試合までの追い込み方も何もかも全く違うので不安はありました。でも、6月18日(土) のヤングシーザー杯花やしき大会で試合をさせていただいたときに、浅草シーザージムの方々にたくさんサポートしていただいたり声をかけていただいたりして、まだまだな自分ですがシーザージムのファミリー感に触れることが出来てホッとしました。今はトレーナーのダムさんのミットやシーザージムのサーキットトレーニングについていくことで必死なんですが、練習はしっかり出来ています。

夢はアクションができる女優になること。そのためにも私にしかできない戦いをしたい。だからまずは今回のGirls S-cupで私は48kg級の頂点を目指します。……そして試合が終わったら、家族に会いに一回大阪へ帰らせていただこうって思っています(笑)。

頂点に立って見える景色は、「その時」「その場所」に立った者にしか見えない。昨年の夏、一度頂点に立った彼女が、さらなる高みに立った時、果たしてどのような光景が広がっているのだろうか。
“RENA選手の妹分”としてではなく、等身大のひとりのシュートボクサーとしてのMIO選手の決意と覚悟は、彼女自身を変え始めていた。今年のSHOOT BOXINGの夏も熱くなりそうだ……。

聞き手 : 高橋藍

MIO

Girls S-cup 48kg日本トーナメント2015王者

1995年4月4日生まれ。大阪府出身。 シーザージム浅草所属。154センチ/47.0キロ Girls S-cup 48kg日本トーナメント2015王者 JKS48トーナメント2012・2013王者 23戦21勝(2KO)2敗





オフィシャルスポンサー